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「あ」

 女子アナ、というものが持て囃され始めたのはハテいつごろの時代からだっただろうか。容姿端麗、頭脳明晰、そして高給取り。アイドルほどファンに媚びる事も無いのでどこぞの野球選手とあっさりゴールインなんて話もよく聞く。   「こんにちは。3時のニュースの時間です。」    しかし今ゾロが小汚い定食屋でせっかくの揚げたてチキンカツに齧りつきもせずに食い入るように見てい...

「い」

「その胸の傷を生かしてさ」    そのアホは、仕事中のゾロの上半身を見て開口一番にこう言った。   「食い終わった焼き魚でも彫って見ねェ?」      ロロノア・ゾロは椅子職人だ。他の家具は作らない。不器用は承知の上で、だからこそ作るのは椅子だけだ。オーダーで作るその椅子の評判は年々高まっている。座る人間を一度目視して、姿勢や身...

「う」

「死相が出てるな」 「知ってる」    物騒な事を言われた自覚はあったが、ゾロはナチュラルにそれに返答した。本当にもう余命幾許も無いという気分だったからだ。もう五日間以上眠っていない。判断力が落ちていた。一気飲みした睡眠打破だかなんだか言うカフェイン飲料はさながらタールを飲み込んでいるような舌触りで、うぇ、と呻き声が漏れた。まずい。    さて、不躾な一言...

蕎麦天使と脳筋

 ロロノア・ゾロは大学生だ。体育大の二年生で、明けても暮れても剣道剣道。大学での机に向かう方のお勉強もスポーツ力学で、顔もアタマもスタイルも良いがその分腹はどす黒い女の知人につけられたあだ名は「脳筋」。脳みそまで筋肉で出来ている、の略だそうだ。お約束として「誰がだ!」と突っ込みはするが、今現在その脳筋野郎はそれを強く否定できない状況に陥っていた。   「……腹減った」 &n...

勝手な誓い

 ゾロの貧乏に転機が訪れたのは、ゾロに脳筋と言う不名誉ながら実に的確なあだ名を寄越した女、ナミの一言がきっかけだった。大学のトレーニングルームより充実した設備が好きなだけ使えて、しかもお金が貰える。   「そんな仕事、やりたくない?」    やりたいやりたくない以前の話だ、どの角度から吟味しても怪しすぎる。まずそれを言い出したのがナミであるという事が最も重い怪...

単発

リクエスト

マリモと月

「頼む、ゾロ!!このとーりっ!!」 「……ッたく……しつけェ奴だな……」    大学の学生食堂で豚しょうが焼き定食にうどん(大)をつけてもりもりと食べていたゾロの隣で食事もせずに椅子の上に正座をして土下座をしているのは、大学の中で一番ゾロと仲良くしてくれているといっても過言ではない友人、ウソップであった。長い鼻が椅子に当たってくんにゃりと曲がっているのがなんとも愉快だ。 ...

ひとり、ふたり

 サンジは森一番の料理人だ。どんなやせ細った兎を持っていっても、おなかをいっぱいに満たす食事を出してくれる。サンジはメスが大好きだ。若いメスには将来が楽しみだと褒める、年が同じ頃合のメスには飽きることのない美辞麗句。妙齢のメスには敬意を払い讃える。サンジはきつねだ。金髪の頭の上には先っぽがちょっとだけ白い耳がつんと立っていて、黒いスーツをきっちり着込んだ尻には、これもまた先っぽが白いふさふさふか...

Under the mistletoe

 クリスマスとかはあからさまに興味なさそうだし、どっちかっつーと仏教徒顔だし、おれがケーキを用意してたなんてことは言ってもねェからそれこそ想像もしてねェだろうけど、普段毎週末のようにアポ無しで人んちに来てメシ食って寝て昼ごろ帰っていくくせに、この週末だけは来ないってどういう事だよ。    そもそもてめェがおれに予定あるかって聞いたんじゃねェか!意味ありげな顔で!普段のおれならク...

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